Quantcast
Channel: 辻恵 – IWJ Independent Web Journal
Viewing all articles
Browse latest Browse all 52

2014/05/23 生活の党・小沢氏 政権交代に意欲 ~シンポジウム「小沢一郎ならどうする ―これからの日本の政治と外交」

$
0
0
WS000160

特集 小沢一郎/陸山会事件

 「小沢一郎ならどうする ―これからの日本の政治と外交」と題したシンポジウムが5月23日、豊島区公会堂で開かれた。

 講演した小沢一郎・生活の党代表は「必ず政権交代を果たす」と語り、野党の結集により自民党に対抗する方向性を示唆した。また、安倍首相の一連の言動が「戦後体制の否定につながりかねない」ものであり、米国の不信感を招いた結果、日米関係をぎくしゃくさせている原因であると強く批判した。

 当日は元内閣総理大臣の鳩山友紀夫氏(※)も「小沢ファンの一人」として講演を行い、両者のつながりの深さをうかがわせた。

(※)鳩山氏は「政治活動ネーム」として、「友」の字を用いる意向。戸籍上は「由紀夫」であることを本人から確認したと、司会の小沢遼子氏から説明があった。

  • 記事目次
  • 民主党政権の瓦解と小沢氏への攻撃
  • 公明党の立ち位置
  • 沖縄から駆けつけた鳩山友紀夫氏
  • 小沢一郎氏「政権交替は十分可能」
  • アベノミクスの成果とは一時的な株高のこと
  • 原子炉建屋からの証言:新安全基準の不備
  • 安倍首相支持層とネトウヨ
  • 政権交代への決意

  • 講師 小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)、植草一秀(経済学者)
  • 激励挨拶 鳩山友紀夫(元内閣総理大臣)
  • 出席 鈴木邦男(一水会名誉顧問)、辻恵(前衆議院議員)、姫井由美子(元参議院議員)、岡本幸三(生活の党総支部長)、森ゆうこ(前参議院議員)、川内博史(元衆議院議員)、木内孝胤(元衆議院議員)、三井環(市民連帯の会代表、元大阪高検公安部長)、山崎行太郎(文藝評論家)、多ケ谷亮(生活の党東京都第10区総支部長)ほか
  • 収録 2014年5月23日(金)18:00~
  • 配信 2014年5月26日(月)20:00~
  • 場所 豊島公会堂

民主党政権の瓦解と小沢氏への攻撃

 シンポジウムの主催者で、「小沢一郎議員を支援する会」世話人代表の伊藤章氏は、「民主党が2009年8月に政権を獲得したものの、すでに旧勢力はその半年前から、民主党政権潰し、あるいは小沢議員潰しを画策していた」と発言。小沢氏秘書の大久保隆規氏が2009年3月に、西松建設事件に絡んだ政治資金規正法違反容疑で逮捕され、翌2010年1月には小沢氏の選挙資金管理をめぐって、石川知裕衆議院議員が逮捕、大久保氏が再逮捕された流れを指し、「わずか一年の間に小沢一郎議員への検察の包囲網が敷かれていた」と語った。
 
 伊藤氏は、当時民主党の中心にあった小沢氏への執拗な攻撃により民主党政権が瓦解したとの見解を示し、「旧勢力は、民主党政権、つまり国民の立場に立った政権を許さない、自分たちが最上権力を奪取するという強い決意のもとに、小沢議員への攻撃を続けてきた」と述べた。

公明党の立ち位置

 続いて登壇した元運輸大臣の二見伸明氏は、集団的自衛権の行使容認をめぐる議論における公明党の位置に関して、「創価学会が、閣議による憲法解釈の変更に対して真っ向から反対している。これは大きいと思います」と話し、次のように山口那津男・公明党代表とのエピソードを語った。

 「私は、山口君が初めて当選した時に色々な議論をし、集団的自衛権についても議論をした。彼は弁護士です。『閣議決定で解釈を変更できる、というのは確かにそうかもしれないけれど、長い間われわれが共有してきた問題を、一内閣が変えることはできません』と彼は20年前に言っているんです。彼がそれを本気になってやってくれれば偉いなと思う」。

沖縄から駆けつけた鳩山友紀夫氏

 鳩山氏は沖縄からこのシンポジウムにやってきたと述べ、「沖縄では鳩山は叩かれると思われるかもしれない。しかし、非常に温かい皆様方に包まれています。だから、自分の人生、これから沖縄の皆さんにできるだけ寄り添って、仕事を進めていきたいと誓っている」と語った。

 「自分の力不足で、辺野古に基地が舞い戻ってしまった、『最低でも県外』という言葉が空虚なものとなってしまった」と語る鳩山氏は、沖縄に住む人びとと本土に住む人びとの間には、基地問題に対する態度に乖離があると指摘。「今日会った大田昌秀元沖縄県知事の話では、米国の人のほうがむしろ沖縄の人の気持ちを斟酌する態度がある。一方、日本政府にはそれがない。常に上からの目線で攻めてくる。そこにどうしようもない虚しさが宿ってしまうというお話だった」と述べた。

 集団的自衛権の行使容認の議論について、鳩山氏は「いろいろと心配されていることは、個別自衛権で片付く」との見解を示し、その根拠として、「日米安全保障条約の第5条の中に、日本の施政の下でいずれか一方が武力攻撃を受けた場合は、他方が助ける、と書かれている」ことを挙げた。
 
 鳩山氏は、行使容認の背後には「『施政の下』という範囲を除外し、地球の裏側にでも(軍隊が)行けるようにしておく」という意図があると指摘。「これは大変危険な思想」と評した。また、「いずれか一方が武力攻撃を受けた場合」という条件が外されれば、武力攻撃を受けることなしに、先制攻撃を行うことが可能だということになると述べ、「その可能性が込められているのが、集団的自衛権だ」とした。鳩山氏は、「集団的自衛権の行使容認を安易に憲法解釈という手段によって閣議決定しようとする日本政府を断じて許してはならない」と訴えた。

小沢一郎氏「政権交代は十分可能」

 小沢一郎氏は、外交問題を中心に講演を行った。日米関係に関しては、「微妙に難しい、おかしな状況にある」と述べ、今年4月末のオバマ米大統領の訪日も「共同声明、記者会見、型通りの儀礼的なものと感じた」と話した。

 小沢氏によれば、米国政府は安倍政権に対して「懐疑的、もっと強く言えば、危険なイメージを持ち始めている」という。

 「安倍さんの折々の言葉、言動を解釈すると、結局は戦後体制の否定につながる。個別に言えば、極東軍事裁判の否定、サンフランシスコ平和条約の否定など、米国が押し進めた政策の否定につながるような言動をしている。これは、米国が最も嫌がり、危険視する考え方」。

 このように小沢氏は話し、「米国は民主党を忌諱するがゆえに、自民党政権を作ったが、考えてもいなかった(安倍政権という)鬼っ子を生んでしまったと思っているのではないか」と続けた。

 また、日中関係に関しては「完全に信頼関係が失われた」と言及。「政治家同士の話し合いが行われず、将来行われることもない」深刻な状況にあると話し、「中国側が妥協するとは考えにくい。安倍さんは(中国側の)嫌がることを次々とやっていく」と述べた。同様に、韓国との関係も、「心情、感情のもつれが根深くある」と指摘した。
 
 会場からの「民主主義の根幹であるのは選挙。しかし前回の衆院選、参院選で不正が行われた疑いがある。これをめぐり裁判が起こされているのにマスコミは報じないし、裁判が公正なものかどうかも確かでない。このままでは有権者の意志が反映されない」という問いに対し、小沢氏は、「このままでは日本の民主主義が定着せず、将来も危ういものとなる」と答えた。

 さらに小沢氏は、「次の総選挙で必ず政権交代を果たす。その可能性は十分ある」と続け、「野党が一致して戦った首長選挙は、ほとんど(自民党に)勝っているという事実がある」と述べた。小沢氏は「このまま総選挙なら、野党は全滅なのは分かっている。だから一つになると確信している」と話し、野党勢力の結集の必要性を示唆した。

アベノミクスの成果とは一時的な株高のこと

 経済学者・経済評論家の植草一秀氏は、「アベノミクス」がもてはやされているのは、「政権が発足した最初の半年間に株価が上がったから、ただそれだけ」と断言。株高の要因としては、円安・ドル高と連動して株価も上昇する関係がここ数年みられること、さらに円安の原因には米国の長期金利の上昇があることを挙げ、「アベノミクス」の成果と呼ばれているものは、「たまたま米国の金利が上がって、その大波がやってきた所に、安倍さんがちょこんと乗っているだけ」と述べた。
 
 植草氏は、安倍政権の経済政策により大部分の労働者の所得が下がったことを、数字を挙げて説明。昨年の「毎月勤労統計調査」による「現金給与総額」を見てみると、労働者の月間所得は31万4050円であり、これは「史上最低を更新している」ものだと述べた。また、日本のインフレ率が1.5%であり、この数字は米国、欧州より高いと指摘し、消費増税分の3%と合わせて物価はおよそ5%上がったと述べた。

 植草氏はまた、安倍政権による社会保障の切り捨てにも言及。「年金保険料が引き上げられる、年金の支給開始年齢が引き上げられる、医療保険の窓口本人負担が増える、国民健康保険の保険料が上がる、介護保険の保険料が上がる、さらに最も重要なことは、障害者福祉の自己負担の強制化、高額療養費制度の縮小、難病で苦しんでいる方の助成を切る」といった「冷酷無比な政策」が押し進められていると指摘した。

 現在、日本には1千兆円の債務があるとされる。このことに関し植草氏は「これは大変だ、と皆様お思いになるかもしれません。しかし、ここには、まったく知らされていない重要な情報がある」と話し、次のように続けた。「一般政府の資産が一切公表されていない。借金は1千兆ですが、実は資産も1千兆ある。つまり、ネットのバランスはほぼゼロ」。一方、米国財務省の発表では、米国の債務は1千700兆円の債務超過がある。「この米国が大騒ぎにならずに、日本が大騒ぎになっている。これはまさに、財務省の策謀と言わざるをえません」。

原子炉建屋からの証言:新規制基準の不備

 元衆議院議員の川内博史氏は、3・11の福島第一原発の爆発で放出された放射性セシウムの量が広島型原爆の168発分に相当すると指摘。「それくらい大変なことが起きたのに、そして今でも起きているのに、一部の経済界の方や、安倍晋三をはじめとする政界の方々は、そんなことなどなかったように、金儲けのために原発をまた動かそうとしている」。

 川内氏は、「新しい基準では『どんな津波がきても大丈夫』だとされている。嘘ですよ、新しく造る防潮堤の高さを津波が超えたら終わりですからね」。川内氏は、新規制基準の内容が、電源車(電源の確保)、ポンプ(原子炉への水の搬送)、ドリル(水素ガス排出用)の3点を備えることを要求するが、その他については「後でもいいと書いてある」ものだと説明した。

 さらに、新規制基準が対応しているのは、津波のみだと川内氏は指摘。「地震での配管損傷には全く対応していない」。これを問題視する川内氏は、福島第一原発の原子炉建屋に立ち入った自身の経験から、「(福島第一原発は)地震で配管が損傷していたことは間違いない」とし、次のように証言した。

 「私は眼球に60ミリシーベルト被曝しました。そこに入って映像を撮ってきた。事故から3年経っているが、ぐちゃぐちゃなままです。線量が高くて片付けられない。私が見てきた状況は、(地震の揺れで)配管が損傷していたことをほぼ決定づけるものだった」。

安倍首相支持層とネトウヨ

 一水会顧問の鈴木邦男氏は、司会の小沢遼子氏から「安倍さんをネトウヨのような若い右翼の人が応援しているという話を聞くが」とうながされて壇上に上がり、次のように話した。

 「安倍政権が右寄りだと言われるが、思想的なものよりも、保守化、管理化、もっと言えば『後戻り』です。それに対して若者たちが支持しているかと言うと、なにか『安倍さんだったらやってくれるだろう』と」。

 鈴木氏は、安倍首相支持層の議論は「子供っぽい」と指摘。「中国、韓国に舐められるな」「自分たちだって秘密があるのだから、国家にも秘密があって当然だ」「慰安婦は世界中でみんなやっている」など、「子供っぽい議論」の例を挙げ、日本国憲法に対するこれらの人々の態度を、「憲法さえ変えれば、国家が強くなり、自分たちも強くなれると錯覚している」ものだと指摘した。

 鈴木氏によれば、「そのような低い次元での欲望あるいはムードを掬い上げるのが自民党は上手い」のだという。安倍首相が集団的自衛権行使容認を国民に訴える際に、「皆さんを守るために私は頑張っているんですよ」というレトリックを用いることも、その一つのあらわれであると指摘した。

 また、安倍首相本人に関しては、「安倍さんがすぐ戦争をしようとしているとは思わない。ただ、いろいろな人が安倍さんを利用し、期待している。ネトウヨも含めて。そういう意味で危険性があります」と述べた。

政権交代への決意

この続きは、会員限定となります。
まだ会員登録がお済みでない方は、ぜひこの機会に会員となって続きをお読み下さい!

この記事・映像の完全版は、IWJ会員のみ閲覧・視聴ができます。
会員の方はここをクリックしてください。
会員登録はこちらから。
この記事・映像だけを有料で閲覧・視聴する場合はこちらから。

■小沢一郎氏インタビュー 記事

■植草一秀氏 関連記事

■関連記事


Viewing all articles
Browse latest Browse all 52

Trending Articles